働きやすさとやりがいを両立

働きやすさとやりがいを両立

「インタビュー!!みんなの「やりがい」」

今回インタビューに応じてくださったのは、在宅医療にも携わる形式の調剤薬局で働く中島さん(33歳女性)。
お子さんを持つ「ママ」としても生きるママ薬剤師の働きやすさと仕事のやりがいをどう両立されているのか?
具体的な経験や現在の仕事内容、私生活も交えながら本音に迫りました。

――現在の薬局に入った経緯を教えてください
以前は病院で働いていたのですが、結婚を機に転職しました。病院勤務だと夜勤や当直、また休日も不安定でしたし、やっぱり結婚したからには夫婦の時間を大事にしたいと思い、なるべく時間の融通が利きやすい職場に、ということでこちらに移ってきたんです。

また結婚だけが理由ではなく、子供が生まれた時のことを考えるとやっぱり病院勤務じゃ難しいと感じたんですね。結婚当初は出産後完全に仕事を完全にやめるかどうか決めてませんでしたが、もし出産後も仕事することになった時は出来るだけ理解のある職場の方が良い判断したわけです。

――実際にこちらで働いてみた印象はいかがでしたか?
一言で言えば、「とにかく働きやすいな」と。以前の病院勤務が多忙だった反動もあるのかもしれませんが、休日も取りやすく残業もかなり少なかったのでプライベートを充実させるうえでは理想の環境でした。

また、仕事そのものに関しても「働きやすさ」と「やりがい」をスタッフに感じてもらえるよう、様々な配慮がなされているように感じました。定期的な勉強会やスタッフ同士での意見交換会など、一人一人に任せるのではなく薬局に関わる全員が成長しながら意識を共有できるような環境作りがなされていたんです。

薬局では薬剤師の基本業務だけでなく、来局した患者さんの受付から会計に至るまであらゆる対応を行うため、病院勤務自体にはあまり感じることの無かった「保険」や「医療費の負担」に関する意識が強まったのが個人的には印象深い出来事でした。薬代を負担する患者さんの立場に立ちながらジェネリック医薬品の活用をうまく提案するなど、「患者さんにとって最善の選択」を意識するようになったんです。

薬の管理や調剤、提供だけが薬剤師の仕事ではなく、本当の意味で患者さんに寄り添うことの意味を教えてくれたのは間違いなくここで働けたからだと思います。

――出産後、働き方は変わりましたか?
出産後、3歳まで育休を取れる制度があるので本当にありがたかったですね。私の場合、早めに職場復帰しましたが、同僚に出産・子育てを経験している薬剤師が多いので、時短制度を気兼ねなく活用して子育てと仕事を両立することが出来ました。

それに現在の職場では子供が小学生でも、学童に預ける際の保育料補助が出るんです。色んな薬局の中でもここまで子育て支援が充実してるところは決して多くないように思うので、ほんと良いところに転職できたなと改めて感じました。

――現在のはどんな仕事を任されていますか?
在宅医療に関する業務を主に任されています。処方せんを持参して来局される患者さんと違い、こちらから施設やご自宅に出向いて対応を行うのですが、その際ドクターや看護師さんと連携して進めるのが大きな特徴です。

調剤薬局での調剤業務は医療の現場とある程度すみ分けされている印象が強いんですが、逆に在宅医療は「薬剤師も医療チームの一員」として医療に携わる側面が強いので責任感のある仕事ですね。

私の中で特に気を付けているのは、患者さんとの応対だけでなくドクター・看護師の方との意思疎通や認識の共有です。やっぱり部署が完全に分かれていて、それぞれが個々の仕事をこなして医療を行う病院と在宅医療はスタイルが違うので。ひとりの患者さん、ひとつの施設に関わるスタッフの認識や方向性がバラバラだと、どうしてもクオリティの高い医療の提供は難しいんです。

だからこそどんな些細な情報であれ、気づいた点であれ、ドクターや看護師とは共有してチーム間での「ズレ」を失くすことを極力心がけています。

――薬剤師として現在の仕事の中でどのようなところにやりがいを感じていますか?
在宅医療に関わってしばらくしてから、患者さんに「先生にはなかなか言いにくいんだけど、中島さんは話しやすいから」と本音を教えてもらえたことがあったんです。その時は素直に「自分が必要とされている」と感じてうれしかったですね。やっぱり薬剤師として色んな経験を積む中で、どうすれば患者さんのためになるか、患者さんはどうしたいか、などを考えながら仕事を進めることを心掛けるようになったのが大きいと思います。

世間一般的に、そして昔の私自身も「薬剤師は薬の専門家だから、薬を正しく扱うのが仕事」だと思ってたんですが、今の職場で働く中で「人として接することの難しさ」を知り、薬剤師の役割や存在理由に関する考え方も変わりました。

「この人になら話せる」「この人から話を聞きたい」「この人の話は分かりやすい」

患者さんにそう思われることが、結果的に薬の正しい服用や患者さんそれぞれの健康や病気へのアプローチにつながると感じるようになったんです。もちろんそのためには患者さんの意見や頂いた情報をスタッフやドクター、看護師の方たちとしっかり共有することが大切です。

ですから患者さんに対してだけでなく、どんな人とでもうまくコミュニケーションを行う能力が今の薬剤師には求められていると私は考えています。私自身、現状に満足するのではなく薬剤師としての知識やスキル、更にコミュニケーション能力を磨きながら、本当の意味で「必要とされる薬剤師」をこれからも目指すつもりです。


今回はママ薬剤師として薬局で働く中島さんから、働き方ややりがいについて詳しくお話を聞くことが出来ました。
薬剤師は様々な職場で活躍の場が用意されていますが、今回のお話を参考に、ぜひ皆さんもご自身なりの薬剤師のやりがいを探してみてください。

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