病院から調剤薬局への転職

病院から調剤薬局への転職

インタビュー!!みんなの「転職」

薬剤師として転職経験を持つ方に、これまで得た経験や今の仕事のやりがいなどについてインタビューするこの企画。
今回ご協力いただいたのは都内の調剤薬局で働く城山さん(30歳女性)です。

病院から調剤薬局への転職を経験されている城山さんに転職理由や現在の仕事のやりがいなどについてお聞きしながら、薬剤師のリアルな姿を迫りました。

――まずは城山自身のこれまでについて聞かせてください。薬剤師を志すまでの人生について簡単に振り返って頂けますか?
幼少時代はとてもおとなしい子で、外で遊ぶより家の中でお絵かきやおままごとに一人で夢中になるような子供だったと聞いています。 中学校ぐらいになると読書にハマるようになって、気になることはすぐにでも調べないと気が済まないというようなタイプでしたね。今思えば、そういう性格が薬学に対する興味につながったようにも思います。

――薬剤師を志したのは?
実は薬剤師になろうと考え出したのは高校3年生になってからで、かなり急だったんです。きっかけは高校で行われていた進路相談で、担任の先生が「あなたは何かに熱中すると周りが見えないぐらい集中できるから、将来的には繊細な仕事に向いてるかもしれない」と言ってくださったのがきっかけです。で、いくつかの候補の中から安定していてお給料も良さそうな薬剤師を目指そうかな、と。まぁ最初はこんなふわっとした考えだったんですよね。笑

――実際に薬学部に入ってみていかがでしたか?
お話しした通り、結構軽い気持ちで薬剤師を志していたんですが、薬学部の1~2年生辺りで薬剤師としての心構えや基礎的な知識なんかを学んでいく中で、「中途半端な気持ちではやっちゃいけない仕事なんだな」と感じるようになりました。
その気持ちは3年生以降になって薬理などの専門知識を学んだり、実習を経験する中で日増しに強くなっていったように思います。

特に薬局での実習では患者さんと直に接することで、薬剤師が命にもかかわる重要な仕事であると肌で感じることが出来ましたし、自分自身の価値観を大きく変えられる経験でした。
やはり生の現場と学校の講義は全くの別物で、実習に行ったあたりから将来的な薬剤師としての歩み方を真剣考えるようになったと思います。

――国家試験合格後、新卒で病院に就職されましたが
病院に決めた理由はいくつかあって、まず自分の中で大きかったのが「患者さんと身近な環境」である点です。
薬剤師はその性質上、患者さんの病気や健康、時には命にかかわるような重要な役割を担うわけですが、どうなやるならやっぱり医療に直接携わった方がやりがいを感じやすいのでないかな?と。過去に入院経験のある私にとって、病院での薬剤師の仕事はイメージしやすかったですし、単純に経験して損はないとも思ったんです。後は寮が完備されていた点や病院の場所が希望の勤務地にドンピシャだった点も大きかったかもしれません。

――病院ではどのような仕事を任されていましたか?
まず配属されてしばらくは、病院内の様々な診療科を渡り歩きながら薬剤師としての基本はもちろん、患者さんそれぞれの多様な症例や病態を学ぶところからスタートしました。期間としては1年間ほどで、その間は「研修」しながら基礎知識・基礎的な経験を学ばせてもらい、以降の薬剤師としての仕事や心構えにも大きく影響を与えるものだったと感じています。

研修が終わってからはいよいよ腰を据えて本格的な業務がスタートしたわけですが、主な業務は入院患者さんの薬の管理や説明でした。治療に必要なお薬はもちろん、患者さんによっては入院前から常用している薬もありますので、それらの兼ね合いを加味して薬をトータルで管理するイメージですね。病状や状態によっては服用をストップする必要も出てきますので、そういった場面で患者さんに説明する役割を任されることもありました。

――約3年間ほど病院で働いて感じたことを教えてください。
当初のイメージ通り、確かに病院での勤務は医療に直接携わっている感覚を受ける場面が多かったのは事実です。科によっては専門知識を必要する場面も出てきますし、薬剤師として成長させてくれる職場であったことは間違いありません。
ただ、色々な点で不満を感じる場面もあって、まずこれは仕方ない部分ではあるんですが、正直お給料が少ないかな…という点がひとつ。

研修中は低くても仕方ないと思ってたんですが、研修が終わって2年目になっても手取りは月20万円程度。賞与も年2回とはいえ10万円ほどで、その割に残業が月50時間に迫るケースも珍しくなかったので、率直な印象として「労力と収入が割に合わない」と感じる瞬間は多々ありました。

実際、1年目2年目で退職・転職する人の多くは収入面を理由にしていたようなイメージもあります。私の場合、収入面の不満以上に「知識や経験を得られる職場である」と感じていた部分が大きいので、結局3年間働くことになったわけです。

――転職を決意されたのはなぜですか?
細かな要因は色々あると思うんですが、一言で言えば「肉体的にも精神的にも限界を感じた」からですね。2年目以降は先にお話しした残業だけでなく、後輩の指導なども任されるようになって徐々に負担が増える中で、無意識のうちに少しずつストレスや重圧を感じていたんだと思います。

で、決定的となったのが人間関係のもつれです。結構いろんな職場でもあるあるだと思うんですが、「お局さん」みたいな人っているじゃないですか?私の勤めていた病院にも薬剤師ではなく看護師でまさに典型的なお局さんがいて、ことあるごとに小言を言われたり、いじわる?をされるようになったんです。それで、とうとう我慢できなくなって「もう無理だ、仕事を変えよう」と。

――調剤薬局に転職された理由は?
単純に薬剤師仲間からの勧誘?ですね。
大学時代の同期の子なんですけどその子はずっと調剤薬局に勤めていて、病院勤務時代からよく相談に乗ってもらっていた間柄でした。ある日、病院をやめて転職を考えてることを相談した際、「じゃあ調剤薬局にしてみたら?」とおすすめされたんです。その子の場合、職場での人間関係がすごい良好だったみたいで、調剤薬局なら人間関係で悩んだ私でもやっていけると感じたんでしょうね。

私自身、病院で薬剤師としての基本的なスキルや知識は調剤薬局でも役に立つはず、と感じたのですぐに転職エージェントを利用して転職活動を始めました。

――転職先に希望した条件を具体的に教えてください
やっぱり病院勤務での失敗を繰り返さないよう、人間関係で悩みにくく、ストレスが溜まりにくい職場であることを大前提に考えました。
ただ人間関係ばかりは実際に働いてみないと相性は分からないでしょうから、現状のスタッフ同士の関係性だけじゃなく、もし何か起こった時でも異動できるよう複数の店舗を開局してること、仕事とプライベートをしっかり切り替えられるよう勤務時間や休日が明確に設定されていることなどが具体的な希望条件です。

また、どうせ転職するなら収入もアップさせたかったので、病院勤務時代より年収が高い転職先を希望しました。

――実際に今の調剤薬局に転職してみていかがでしたか?
結果的に、今のところは「大成功」だと感じてますね。運が良かったところもあるんでしょうが、同僚とは気が合いますし、お局さんのような人もいません。笑

他にも残業が少なく、以前より多少は年収もアップしたので今のところ大きな不満はないんです。だからこそ同じ薬剤師として転職を考えている人がいるなら、一度転職活動で具体的なアクションを起こしてみては?と思いますね。


今回は病院から調剤薬局に転職された城山さんに詳しくお話を聞かせて頂きました。
転職のヒントや自分らしい働き方について、少しでも皆さんの参考になれば幸いです。

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