薬剤師の一日の業務内容は?

薬剤師の一日の業務内容は?

「薬剤師の一日の業務内容は?」

薬剤師と言えば、薬を調剤したり、服薬についてのアドバイスを行う仕事。
一般的に薬剤師に関してこのようなイメージはよく知られたものでしょう。
ですが薬剤師が具体的に1日の中でどんな仕事をいつこなしているか?詳しくご存知でない方もいらっしゃるかと思います。

今回はそんな「薬剤師の一日の業務内容」を具体的に解説しながらご紹介することにしました。
薬剤師として働ける様々な仕事の中から特に人気が高くスタンダードともいえる、「調剤薬局」「ドラッグストア」それぞれの一日の業務内容をご紹介しますので参考にしてみてください。

「総合病院の門前薬局(調剤薬局)Aでの1日の業務内容」

薬剤師の一日の業務内容は?


【9:00】ミーティング・開局
患者様を迎えるための開局準備を整え、スタッフ全員でミーティングを行います。
社内連絡はもちろん前日の反省点や気づいた点などをスタッフ全員で共有したり、近くの医療機関で新たに採用される薬の情報などもここで全員に改めて共有されます。

【11:00】患者様が来局するピークの時間帯
近隣病院の診察時間と関連して、こちらの門前薬局では11時ごろから処方せんが増え始め、それぞれが分担して処方せんの入力や調剤、鑑査などの業務に当たります。

【13:00】昼休憩
昼休憩と言えど薬局は開局したままの状態ですので、休憩はスタッフが交代で取ることになります。
休憩のタイミングを利用して反省点の共有や薬学情報のチェックなどを行うことも少なくありません。

【15:00】外来調剤が落ち着く
15時を過ぎると病院の診察時間も終了するため、外来調剤が落ち着くタイミングを迎えます。
ですがこちらの薬局では在宅医療も行っていますので、スタッフが処方せんの調剤・鑑査を分担して行ったうえで、担当薬剤して応需している施設や患者宅に届けます。

【17:00】薬歴記入
この時間あたりから業務全体が落ち着きを見せ始めます。
日中来局が多いタイミングで対応できなかった薬歴の記入などもこのタイミングで行います。

【18:00】業務終了
薬局を閉店し、清掃や各自片づけを終えたら勤務終了です。

「ドラッグストア(調剤併設型)Bでの1日の業務内容」

【9:00】開店準備
店内の清掃、商品の陳列、薬の在庫確認や発注などを店舗開店前までに済ませておきます。

【10:00】開店
店舗がオープンし続々とお客様がやってきます。
薬剤師は処方せんを持ってきた人への対応だけでなく、市販薬を買いに来た人への説明、医薬品に関する相談、レジ打ちなどドラッグストアの販売員としての仕事もこなします。

【13:00】昼休憩
他のスタッフと交代しながら昼休憩を取ります。

【15:00】来店者への対応
調剤薬局と異なり、病院の診察時間に関係なくお客様が来店するドラッグストアでは、この時間になっても来店者が一気に減るようなことはありません。
午前と同様、処方せん関連の対応をはじめ、接客やお客様の相談に乗るなどの業務をこなします。

【18:00】引き継ぎ・退勤
調剤薬局より営業時間の長いドラッグストアでは、自分が退勤する前に公認のスタッフに引継ぎを行わなければなりません。
引継ぎ作業が済めば業務終了です。

「処方せん関連の具体的な業務内容は?」

調剤薬局でもドラッグストアでも、薬剤師の重要な仕事は言うまでもなく処方せんに関連づいた業務を正確に行うことです。
では処方せんを持ってきた患者様に対して、受付から薬をお渡しするまで具体的にどのような業務を行うのでしょうか?

順を追って薬剤師の業務内容をまとめました。

①受付
患者様が初来局の場合は初回質問票に記入してもらい、アレルギーの有無、副作用歴、併用の有無などを確認します。
後発医薬品(ジェネリック医薬品)の案内や残薬の確認などもこの段階で行い、処方せん入力します。

②疑義照会
服用中の薬の名前や量、日数などの薬歴を処方せんの内容を確認し、必要に応じて処方した医師に問い合わせを行います。
薬剤師自ら患者様へ症状について聞く場合もあります。

③調剤
ピッキングマシン(全自動錠剤払出機)、散剤分包機、軟膏練り機、全自動錠剤分包機など調剤機器を活用しながら、間違いの無いよう正確に調剤を行います。

④鑑査
鑑査(薬剤師鑑査)とは、処方せんに基づいて調剤された医薬品の分量や中身が間違っていないかを確認する業務です。
いわゆる二重チェックで調剤によって事故や誤りを防ぐ目的があり、最初に調剤を行った薬剤師とは別の薬剤師(一人薬剤師の場合は例外)が行います。

⑤服薬指導
処方された医薬品を患者様にお渡しするタイミングで、薬剤情報提供書を基に服薬方法や服薬のタイミングなどを説明します。
患者様から薬に関する質問を受け、安心して正しく服用してもらうことが一番の目的です。

⑥会計
処方された医薬品の会計を行います。

⑦薬歴作成
患者様が服用中の薬の内容や副作用歴、アレルギーの有無などを来局する度に都度記入します。一人一人の治療経過や今後の服薬指導にも役立てられるため、欠かせない作業です。

「薬剤師は薬を提供するのだけが仕事ではない」

ここまで調剤薬局やドラッグストアで働く薬剤師の1日の業務内容、また処方せん関連の業務内容をお伝えしてきましたが、薬剤師に求められるのは薬の知識や正確な作業だけではありません。
実は調剤や各種作業と同じぐらい「患者様とのコミュニケーション」が薬剤師には求められるのです。

例えば過去に、ある薬を患者様が服用したところ、薬の開発段階で行った臨床試験の1/3程度しか効果が表れないという事例がありました。
原因はお客様の身体と相性が悪かったわけでも、処方された薬が不適切だったわけでもありません。単純に服用の仕方が良くなかったからです。

この例からも分かるように、医薬品というものは服用するタイミングひとつ、服用の仕方ひとつで効果が大きく異なるケースも珍しくないことを覚えておきましょう。

では薬の効果をなるべく引き出すためには何が必要でしょうか?

もちろん患者様に適切に服用してもらうことですが、その為に何より重要なのが「薬剤師が服用方法や注意点などをしっかり患者様に理解してもらうこと」です。
薬剤師自身に十分な知識があっても、それが患者様に伝わっていなければ意味があります。

つまり患者様から「この薬剤師さんの説明は理解できる」と思ってもらうことが大切なのです。
薬について正しく、分かりやすく伝えるのはもちろん、「この薬剤師さんから説明を受けたい」と感じてもらえるのがベストでしょう。
その為に薬剤師としての知識・スキルを蓄えるだけでなく、一流の薬剤師にはコミュニケーション能力も求められることを心掛け、日々の生活の中で能力向上に努めるのが薬剤師の仕事の一部であると考えてください。

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