薬剤が携わる仕事にはどんなものがある?

薬剤師が携わる仕事にはどんなものがある?

「専門分野のお仕事を紹介」

薬剤師と言えば多くの人は、調剤薬局などで調剤業務や服薬指導するスタイルイメージするでしょう。
ですが実際には薬剤師と一言で言っても、現場によってさまざまな働き方が存在しています。

今回はそんな薬剤師の専門分野のお仕事を紹介しながら、それぞれの魅力や役割についてまとめました。

「薬剤師の特徴は?」


薬剤師の様々な働き方をご紹介する前に、まずは薬剤師そのものについて知識を深めておきましょう。

ご存知の方も多いでしょうが、薬剤師は国家資格であり取得すれば「一生安泰」とも言われる資格です。

【薬剤師が一生安泰といわれる主な理由】
・医療に携わる仕事なので時代の変化や流行の波の影響を受けにくい
・医療現場は薬剤師が足りていない状態
・結婚や出産後の女性でも復職しやすい
・他業種と比べて転職もしやすい

要するに薬剤師は常にニーズが見込める仕事であるからこそ、「一生安泰」と言われているわけですね。
実際に薬剤師として働く方の多くは調剤薬局・調剤併設型ドラッグストア・病院などで働いており、調剤業務や服薬指導が主な業務です。

ではスタンダードともいえる上記のような働き方だけでなく、薬剤師のお仕事にはどんなものがあるのでしょうか。
働き方だけでなく、それぞれの特徴などについてもここから迫っていきましょう。

「薬剤師の多くはこんなところで働いている」

薬剤師が携わる仕事にはどんなものがある?

まずは薬剤師の多くが働いている場所とそれぞれの特徴をご紹介しましょう。

■調剤薬局
薬学部卒業後の学生の大半がこの調剤薬局に就職します。
業務内容は、医療機関で発行された処方箋を元に薬を調剤する調剤業務、患者さんに服薬について具体的な方法や量、タイミングなどを説明する服薬指導など、「一般的な薬剤師の仕事のイメージ」をメインで行うのが調剤薬局での仕事です。

なお、調剤薬局は病院の近くに開局しているケースが多く、近くの病院の規模や何科を扱っているかなどによって忙しさや扱う薬の量も異なります。
例えば大病院に隣接しているのであれば当然すべての診療科の薬を扱いますし、皮膚科や泌尿器科が隣接しているのであれば処方している薬も限られてくる、といった具合です。

■病院
調剤業務、服薬指導が主体となる点は調剤薬局と同様ですが、大きな違いは入院患者をはじめとした、内部医療に直に携わる点です。
医療機関とある程度隔離された調剤薬局と異なり、入院患者への対応に当たっては現場の医師や看護師と連携して業務を行う必要があるため、医療そのものに携われる点が大きな特徴です。

ただし、キャリアのトップが薬局長までといった具合にキャリアアップに限界があるため、平均年収400~650万円と収入面の大きな上昇は難しく、また病院内での業務ですので当直や臨機応変な様々な対応をクリアするのは、心身ともにハードであることをある程度覚悟しておいた方が良いでしょう。

■ドラッグストア
ドラッグストアの特徴は何と言っても、OTC医薬品や健康食品、その他生活用品などを扱っている点です。
従って現場で働く薬剤師にも多様な商品知識が求められますし、接客や商品の整理、レジ打ちなど様々な業務をこなす可能性が高くなります。

しかしながらドラッグストアの場合、メリットとして調剤薬局や病院で働くより高給が望める点が挙げられます。初任給で年収400万円を超えることも珍しくなく、ゆくゆくは店長、マネージャー、本社勤務などキャリアアップと共に昇給が望める点は大きな魅力と言えるでしょう。

ドラッグストアはお客様の接客や様々な相談を受けることが非常に多い現場ですので、薬学の知識だけでなく、接客・コミュニケーションスキルが高い人に向いている職場であると言えるでしょう。

「薬剤師の専門分野のお仕事にはこんなものも」

ここまではある程度スタンダードな薬剤師としての働き方をご紹介してきましたが、ここからはより専門的な薬剤師の働き方とその内容をご紹介したいと思います。

■学校
実は現在の日本では、全国の幼稚園、小学校、中学校、高等学校など大学以外のすべての学校に「学校薬剤師を1名以上置くこと」が学校保健法により定められています。

【学校薬剤師の業務例】
・プールや水道水の水質検査、衛生管理
・給食施設の管理
・学校内(教室など)の空気検査

つまり学校に通う人たちのために学校の衛生環境を守るのが、薬剤師として求められる業務というわけです。
薬剤師の基本である調剤業務、服薬指導とはかけ離れた仕事ですので驚くかもしれませんが、そもそもこの学校薬剤師が勤務するのは年数回。該当する学校の非常勤講師として雇用され、年数回上記のような業務をこなし、報酬も年間10万円以下がほとんどです。

従って学校薬剤師一本という薬剤師はほとんどおらず、ドラッグストアなどで働きながら兼業スタイルで行っている人が大半を占めています。

以上のようにあくまで収入が目的ではなく、やりがいや社会貢献を求める人が働く仕事ですし、雇用の多くは前任者の紹介により後任が決まることが多いため、話が回ってきた際には考えてみるのもアリでしょう。

■在宅医療
在宅医療に携わる薬剤師はこれからの時代、チーム医療に欠かせない存在になるであろうと言われています。
業務内容は在宅医療の言葉の通り、病院に赴くことが難しい患者や高齢者の元に出向き、医療チームの一員として服薬指導や薬剤管理を行うのが薬剤師の主な役割です。

ただし常にチーム全体で動くとも関わらず、場合によっては医師や看護師の見立てを元に薬剤師が薬を調剤し単独で患者の元へ届けるケースも珍しくありません。
もちろん薬を調剤し服薬指導や薬剤管理を行うだけでなく、医師や看護師はもちろん、時には介護士やケアマネージャーとも連携を取りながら薬を適切に服用、管理するなどの作業を行う必要があります。

この仕事の一番の魅力は何と言っても患者と直に接しながら、チーム医療に携わる形で薬剤師として働ける点でしょう。
在宅医療薬剤師に関する特別な資格が不要な点もメリットで、年収は調剤薬局で働くのとあまり変わらない水準であることが多いようです。

■製薬会社
製薬会社は薬剤師として開発や研究に取り組みたい人に人気の職場です。一口に製薬会社で働くと言っても仕事内容は様々ですので、いくつかの具体例をご紹介しておきましょう。

【製薬会社での業務内容例】
①治療のメカニズム、創薬、新薬のための研究業務を行う仕事。高い専門性を求められるため博士課程の卒業が必須。
②薬の安全性や効果、臨床実験など新薬の開発に携われる仕事。こちらも高い専門性が求められるため、就ける人は限られている。
③自社製品の安全性や効果をプロモーションする業務。通称「MR」(医療情報担当者)。

業務内容は様々ですが、製薬会社は薬剤師が働ける仕事の中で収入面がトップクラスであることが大きな特徴です。
年収は平均でも500~800万円と言われており、年収1,000万円を超えるケースもめずらしくありません。

■食品会社・化粧品会社
食品会社の中でも特に健康食品を扱う会社では薬剤師の存在が非常に重宝されます。
主な業務内容は商品開発チームに参加し、商品開発に携わること。例えば健康食品の効果を調べるために詳細なデータを出したり、安全性や副作用などに関する分析や調査も行います。化粧品会社も成分の研究や品質管理、薬事法申請など、ベースとなる業務は似通っていると考えてください。

年収は企業によってピンキリですが、平均的には500万円前後が多いようです。
ただし、食品会社・化粧品会社共に薬剤師の求人は非常に少ないため倍率が高く、更に非公開求人になっているケースが多くなっていますので、非公開求人を取り扱う複数の転職サイトに登録しておくことをおすすめします。

開発に携わる仕事ですから、業務の中でプレゼン能力やコミュニケーション能力が求められることも加味し、薬剤師本来のスキル以外にも求められるものが多いと覚えておきましょう。

今回は薬剤師の専門分野に携わる働き方含め様々な仕事を紹介してきましたが、ご覧の通り、同じ薬剤師でも業務内容が全く異なった仕事がいくつも存在しています。
自分のスキルや人生設計、求める働き方などを元に、あなたに一番ぴったりの働き方を見つけてください。

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